長老の話

りんごの品種は数百種類あると言われています。
今世界で一番生産されているりんごが「ふじ」です。
完熟するほどに蜜が入り私も大好きです。
栽培する側も「ふじ」は晩成種のりんごで一年の総決算といった感じのりんごです。
袋をかけずに日光にさらされたりんごが「サンふじ」として、3月4月と長期に渡って販売されるのが袋をかけた有袋ふじです。
今、青森県では様々な品種競争が行われています。
夏りんごで有名な「つがる」が生産過剰な事が理由で価格が取れなくなってきました。
生産者は当然ながら違う品種にと植え替えを考え始めるわけです。
今、産地で話題になっているりんごは長野で育種された「シナノスイート」や「シナノゴールド」そして青森で育った「トキ」「星の金貨」「千雪」「あおり21」等々・・・。
どの品種も一長一短があります。 私のりんご園の前の農道を毎朝決まった時間に自転車で通る方がおられます。
大正生まれで86歳の村の長老です。
戦争に行った話や、バナナの輸入が始まりりんごが大暴落し山や川に捨てた山川市場の辛かった話。
今、世界で一番の生産量になった「ふじ」の誕生の話など。
勉強になるものばかりです。
この「ふじ」誕生の話を少し紹介しましょう。
長老の話によればスターキングという革命的なりんごの発展中期くらいに「ふじ」のりんごが生まれたそうです。
「ふじ」と命名される前は東北7号というりんごだったそうです。
当時は着色が悪く、すべて有袋栽培だったそうです。
当時から味は抜群に良かったが生産者間でも袋をかける手間によるリスクと着色不良で10年も持たないで世から消えるりんごだと言われたこともあったそうです。
それから10年経ち無袋栽培が始まったそうです。
その無袋栽培のりんごを買い付けてくれる所が無く当時、岩木町の岩木農協にすべて搬入したそうです。
それから10年、着色の優れる系統の「ふじ」があちこちで発見され今では有袋栽培が少なくなってきました。
こうやって、今に「ふじ」というりんごが至るわけです。
このふじに似た世襲に流されているのが「あおり21」だと長老は言ってました。
生産者間で「良いりんごだ!!」と言われるりんごは、数年もすれば生産過剰気味になります。
私の数倍も時代を見、またりんごを育て経験し、すべてにおいて長けた長老の話に耳を傾け「あおり21」の生産に踏み出そうと思います。
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